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2018年11月12日月曜日

【無借金経営】 ~全ての企業が求めることなのか? 個人的に考えてみました~



無借金経営とは


 無借金経営といえば非常に素晴らしい経営をしているとみなされているというイメージを持ちます。 財務体質も非常に固く 不安定な要素は少ないように思います。

 ここで考えていただきたいのは、それでは「全ての会社」が無借金経営である必要があるのかというところになります。

 理想論から言ってしまえば、借金がなく自己資金のみで経営していると良いイメージです。しかし、それでは企業の拡大などに対して将来の事業の成長が見込めなくなってしまうリスクも孕んでおります。

借金=というのは、あまり建設的な考えとは言えません。
日本ではこのイメージが強烈に印象に残っています。

借金を抱えた男性のイラスト

確かに、借金が多すぎるというのは不安定要素が増えてしまうことにもなるので、心理的なイメージとしては良くないのかもしれません。
 適切な借金というのは事業経営においても、成長性のある分野事業に投資ができるということにもなる。だから、企業にとって借金は必要なお金であることも間違いありません。

借金というのは基本的には他人資本というものです。

 自己資本とはまた違うものです。
 自己資本と言うと 株主から預かった資金がメインだと思います。

 ここで新しく出てきたのは、「他人資本」、「自己資本」という言葉です。

 他人資本に関して言うと、銀行などから調達した資金を指します。

 銀行にとって金利を付けて貸しているということになります。
だから、金利を払って返済計画を立て、満期まで返していただければ十分ということになります。

 しかし、自己資本ということになりますと上場している会社で例えさせていただくと、株主から預かっている資本ということになります。
株主が 最大利益をもらえるように企業に取り計らってもらうような株主提案などがあります。

銀行などと違い決まった利息などはないため、会社に取って、株主の要求の期待値が常に高くなりつつあります。

 昔は株主還元という言葉に関してはあまり意識されていなかったかもしれません。

 昨今、株式会社は株主のものだという認識が広がりつつあり 欧米の企業を代表するように自社株買いもしくは配当を増やすという方法をとって株主に対しての還元対策を取っています。

 日本企業にとっても、この大きな流れは変わらず、今後も株主に対しての還元対策を注力する形になります。

 ここでまとめさせていただくと、他人資本(いわゆる借金)というものに関しては銀行を例に挙げると金利をつけて返済していていただくだけで十分ということになり、自己資本に対しては自社株買い・配当増など様々な要求を企業が求められます。

 経営者が考えることは、株主に対しての対策を打たなければならない。

自己資本 運転資金の部分をある程度借金(他人資本)ということで、賄っていれば株主(自己資本)に対する要求はそこまで意識しなくても良いのかもしれません。

未上場会社の場合でいうと、半ば身内の方の出資になるためここは当てはまらないのかもしれません。

上場などを前提に考えているベンチャー企業で、ベンチャーキャピタルから資金を調達している場合は、別です。

ベンチャーキャピタルが求めるリターンは通常よりも高いことが多く、投資した資金が戻ってこないというリスクを大きくとっているためリターンも大きく求めてきます。

 上場会社の場合は、基本的に誰でも株主になれるチャンスがあります。そのために、株主総会で株主から意見をもらう場面もあります。
 企業によっては上場する目的が異なります。
・知名度の向上を図るため
・銀行以外からの資金調達のため

 ある程度有名な会社で資金調達も必要がない会社の場合は上昇するメリットが薄くなってきます。

 地方の会社でも、知名度が高く、資金調達もあまり必要ではない会社は上場という選択は取らない方が賢明です。株主対策・株主総会を開くこと・情報を開示することにもコストがかかるからです。


 例を挙げるとすれば有名な会社で行くとサントリーホールディングス。

サントリーの子会社であるサントリー食品インターナショナルは上場しています。

しかし、親会社のサントリーホールディングスに関しては未上場です。
 創業家一族の影響力を維持するために、上場していないと思われます。
 上場すればいいということはなく、企業の在り方として上場するのも一つの手という形に考えていただくと分かりやすいかもしれません。

まとめ

【無借金経営】が金科玉条のごとく、あるべき企業の在り方ではないと個人的には思っています。

借金をしないことで、将来の事業成長のための投資をしていないということにもつながる可能性があるからです。
借金の利息も考えようによっては、利益を抑えることが出来て結果的に税金を低く抑えることにもなります。

物事には、プラスの面とマイナスの面が必ず存在します。

アメリカ企業では、借金=悪というイメージはない。
資金調達した場合、どちらの方がメリットが大きいかどうかという合理的な判断をしている。

適切な借金をして、調達した資金で将来のビジネスの種をまいて成長していく会社が、個人的には投資する価値がある企業だと思います。